ChatGPTに聞く:長野県などIT教育が遅れている地域の中学生・高校生はプログラミングやAIをどう学ぶべきなのか?
みなさん、こんにちは。さいたま市のプログラミング教室「ツクリウム」です。
AIの波が毎日、日ごと押し寄せてきていますね。ChatGPTのOpenAIをはじめとして、マイクロソフトやGoogleをはじめビックテックが次から次に新しいAIやサービスを始めています。いよいよこの2023年はAI時代のスタートと呼ぶべき年になっています。
しかし、その一方でITに関する教育は少し心もとない状況です。
たとえば、こんなニュースが飛び込んできました。
朝日新聞:「情報1」教える懸念なお 体制に地域差、専門の教員増を期待 入試に導入、現場の理解追いつかず
https://www.asahi.com/articles/DA3S15585630.html
詳しくは記事をご覧いただきたいのですが、これによると「情報」の正規免許がない情報教員数が紹介されています。例えばワーストの長野県は70人以上です。長野県の高校の数は公立、私立あわせて約100校ですので、単純計算で1校1名の配置と仮定すると70%が学校や教室で専門外の先生が教えているという状況のようで、あまり専門知識のない方が急場をしのぐために頑張っているのが現状のようです(もちろん、かけもちがありそうですので正確な数値は5割くらいと推測はされますが・・)
こうした状況に陥っているのは知事や市長、教育委員会などの怠慢や無責任の結果とは感じなくはありませんが、そうした批判はその地域の方にお任せするとして、現実として今、長野県などの地方の高校に通っている生徒さんは著しい不利を受け、将来の道を歪められていると感じます。
なぜなら、2025年度には大学入試共通テストで「情報Ⅰ」がほぼ必須の課題として国公立大学では課されることになっているからです(参考1https://qiita.com/Aichi_Lover/items/2a7a8a161528dbef37a5 参考2https://note.com/platform_eldi/n/nd1f8099f640d)。もちろん、北海道大学や徳島大学など一部の大学はこうした地方の格差を考慮して2025年度は情報Ⅰを実質的に入試科目から除外している大学もあります(https://www.asahi.com/articles/ASQBD6GNGQBDULZU00K.html)。しかし、それはごく一部ですし、長野県にある国公立大学の信州大学では情報Ⅰが課されるようです(参考:https://www.shinshu-u.ac.jp/ad_portal/docs/R7kyoukakamoku.pdf)。
率直に言えば、たまたま長野県に生まれ育ったというだけで国公立大学への道が狭まってしまうというアンフェアな状況です。
教育格差があることに様々な事情があるとしても、現実的には長野県に住む高校生から中学生は実質的に責任がほぼ個人に丸投げされている状況です。つまり、自分でなんとかするしかないように感じます。また長野県に限らず地方の場合は、都市部と違いプログラミングをはじめとするITの教育機会が限られています。
義を見てせざるは勇無きなり
、ということで、今回はどうしたらよいか考えてみることにしました。そこで登場するのが昨今、巷で話題のAIであるChatGPT(GPT-4)です。
どうしたらよいかChatGPTに聞いてみました。
質問文と回答は以下の通りでした。
【質問】
長野県の高校は100校ほどあります。ただ報道によると7割以上が免許外教員という状況で「情報」の免許を持たない人が教師をし、また「情報Ⅰ」すら設置されない高校もある状況です。こうしたIT教育後進県の高校生は学校や教師に期待ができず、ほとんど自らの努力と責任で学ばなければなりません。公立高校に通う生徒を想定してどのように学びを進めるかの対策を挙げてください。またそうした対策を元にどのように勉強をするのかステップバイステップで教えてください。
【ChatGPT-4の回答】
対策:
1.インターネットを活用する
2.独学用教材を利用する
3.オンラインコースに参加する
4.ITに関連する地域イベントやセミナーに参加する
5.学校外での友人や知人と情報共有・協力学習
6.自主的にプロジェクトを立ち上げる
7.メンターや専門家に相談する
8.学習成果を発表する
9.高校卒業後の進路でIT教育を受けられる場所を選ぶ
ステップバイステップ:
インターネットで調べる
1.1. 検索エンジンでIT関連の情報を検索
1.2. YouTubeやニコニコ動画で教育チャンネルをフォロー
1.3. オンラインコミュニティに参加して情報交換
独学用教材を使う
2.1. 本屋や図書館で適切な教材を探す
2.2. オンライン書店で電子書籍を購入
2.3. 教材を定期的に進める
オンラインコースに登録
3.1. CourseraやUdemyなどのプラットフォームでIT関連コースを探す
3.2. コースの受講をスケジュールに組み込む
3.3. 課題やテストをこなす
イベントやセミナーに参加
4.1. 地域のITイベントやセミナーを調べる
4.2. イベントに参加し、ネットワークを築く
4.3. 学んだことを日常の学習に取り入れる
友人や知人との協力学習
5.1. ITに興味のある友人や知人を見つける
5.2. 定期的に集まり、学習の進捗や課題を共有
5.3. 助け合いながら学ぶ
自主プロジェクトを立ち上げる
6.1. 自分に興味のあるITプロジェクトのアイデアを考える
6.2. 必要なスキルやリソースを調べる
6.3. プロジェクトを実行し、成果を共有
メンターや専門家に相談する
7.1. 地域のIT業界の専門家や経験者を探す
7.2. 質問やアドバイスを求める
7.3. フィードバックを受け入れ、学習やプロジェクトに反映させる
学習成果を発表する
8.1. 学習成果やプロジェクトのポートフォリオを作成
8.2. SNSやブログで自分の学びや成果を発信する
8.3. 学習成果を評価・改善し、さらなるスキルアップを目指す
高校卒業後の進路でIT教育を受けられる場所を選ぶ
9.1. 大学や専門学校でIT関連の学部・学科を調べる
9.2. 職業訓練校や短期コースを提供する機関をリサーチする
9.3. インターンシップや就職先でITスキルを磨ける企業を探す
9.4. 進路選択にあたって、自分の目標や興味に合った場所を選ぶ
9.5. 高校卒業後、選んだ進路でIT教育を継続して受ける
これで全体のステップが9つになりました。各ステップを一つずつ進めることで、学校や教師に頼らずに自己学習を進めることができます。
補足
この回答を見ると、細かな部分であいまいな点はありますが全体の方向性としては分かると思います。ただ長野県のようにIT教育が遅れている地域の中学生・高校生が全ての対策をするのは大変ですので最初のほうに指摘された「インターネットを活用する」、「独学用教材を利用する」、「オンラインコースに参加する」という3点に重点を置くとよいでしょう。それらがある程度できたら、後半で指摘された対策を行うとよいと思います。
補足すると以下のような例が考えられます。情報Ⅰやプログラミングのどう学んで分からない中学生や高校生の人は参考にしてみてください。
1.インターネットを活用する
まず、パソコンを用意しましょう。情報Ⅰやプログラミングを学ぶのにスマートフォンだけではどうしても厳しいものがありますし、それができないとなるとそもそものやる気に疑問符がつきます。中古で30000円程度のパソコンでよいので自分用のパソコンを用意しましょう。そして、することは以下の通りです。
1.1.インターネット環境の構築
Googleアカウントの取得(無料でメール、文書作成、表計算、スライド作成などができるアプリが使えます)
OneNoteやNotionの利用(学んだことを記録しておくノートとして使います。これらは例なので自分の好みで良いと思います。)
1.2.AIアシスタントの導入
ChatGPTなどAIの導入(無料で使えますが、可能であれば課金しましょう。下手な家庭教師や塾よりはずっとコストパフォーマンスが良いです。)
1.3.タイピング練習 (インターネットを最低限に使うためには検索やAIのプロンプトなど最低限の入力作業が必要です。完全初心者の場合は、ある程度のタイピングはできるように練習しましょう。タイピングは誰でもそれなりにできるようにはなります。)
2.独学用教材を利用する
2.1.初級プログラミングの学習
(プログラミングであればまずはタイピングがほぼ不要なブロックを組み合わせる形式のプログラミングで基本を学びましょう。基本的にはスクラッチです(https://scratch.mit.edu/)。高校生ならスクラッチですと入門本(たとえば「できるキッズ 子どもと学ぶ Scratch3 プログラミング入門」https://book.impress.co.jp/books/1118101140)を1冊やれば十分でしょう。また、Code.orgやBlockly Gamesはミニゲーム方式でプログラミングの初歩が学べますのでコースをざっくりと1~2周します。
Code.org https://code.org/
Blockly games https://blockly.games/
スクラッチの学習 https://scratch.mit.edu/
2.2.基礎知識のインプット
(そして、2.1.がある程度、できたら次の全体的な知識を学ぶため勉強系の知識をインプットしていきます。学校の教科書を読んだり、高校講座「情報Ⅰ」などをはじめ自分に必要なものを検索して受講しましょう。きっちり学ぶか、ざっくり学ぶかは各自の目的によりますが、今回のように長野県などのIT教育の体制に問題がある場合は自分でしっかり学んだ方がよいでしょう。学校の授業ではおそらく形だけ流して終わってしまうところも多いと思われます。)
高校講座「情報Ⅰ」の受講
https://www.nhk.or.jp/kokokoza/
https://www.nhk.or.jp/kokokoza/jouhou1/
文部科学省 高等学校情報科に関する特設ページ > 生徒用コンテンツ
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_01836.html
3.オンラインコースに参加する
ここまでくれば最低限の知識が身についています。
ただし、上記のものだけではテストではまだ点は取れませんし、プログラムも自由には作れない段階です。そのため、練習を繰り返す必要があります。長野県などの地方に住む中学生、高校生としてできそうな練習方法は以下の例が挙げられます。それぞれの興味や目的に応じて選んだり、配分を調節するとよいでしょう。
3.1.オンラインコースの練習の例
3.1.1.勉強系(学校の試験や入試を重視したい)
教科書や問題集の演習
試験の過去問演習(情報関係基礎や基本情報技術者試験のアルゴリズム問題など)
受験が迫っているなら高校3年生や浪人中の人は塾や予備校のコースも調べてみましょう。
無料系のWEB、動画サイトで勉強する(検索すれば非常にたくさんありますのでお好みで。例:https://toppakou.com/info1/ )
3.1.2.競技プログラミング系
3.1.2.1.初心者向け、文法や基本的なアルゴリズムを習得したい人向け
トイプロ(https://www.toy-pro.net/)
アルゴ式(https://algo-method.com/)
各種オンラインコースの無料講座の受講
(例:Progate(https://prog-8.com/)、ドットインストール(https://dotinstall.com/)、Udemyなど)
、など
3.1.2.2.ハイレベル(なお、競技プログラミングの場合、人を選びますが、高校くらいまでの数学の問題やパズルを解くのが好きなタイプの人向けのものもあります。レベルは高めで挫折要素もあるので、必ずやらなければならないというジャンルでもないです。お好みで挑戦という感じです。)
Aizu Online Judge(AOJ) https://judge.u-aizu.ac.jp/onlinejudge/
AtCoder https://atcoder.jp/?lang=ja
日本情報オリンピック(JOI) https://www.ioi-jp.org/
、など
3.1.3.自主制作系(オリジナルのアプリを自分で作りたい人向け)
書籍やWEBを参考に制作をしましょう。
(※今ならChatGPTやGithub CopilotなどがAIが強力にアシストしてくれますので必ず使いましょう。挫折の確率を減らしてくれます。)
【参考】どのプログラム言語を学ぶべきか?
なお、テキストプログラミングを学ぶ場合、どの言語を学ぶかという問題があります。情報Ⅰの教科書ではPythonかJavaScript,VBAが多いようです。ただAI時代と相性のよいPythonを選んでおいたほうが無難かもしれません。またPythonの導入には初心者は以下のものは準備しておくとよいでしょう。(もちろん、はじめからWEBアプリを作りたいという目的があればそれが得意なJavaScript、表計算マクロが作りたいのであればVBAでもよいでしょう。)
3.1.4.1.Pythonの導入
Google Colaboratoryの利用 https://colab.research.google.com/?hl=ja
Pythonのインストール https://www.python.org/
VSCodeのインストール https://code.visualstudio.com/
Thonnyのインストール https://thonny.org/
Pythonの基本は検索すればたくさんあります。ただ中学生や高校生はまずCUIベースのコンソールでの処理ができるようになってからGUIアプリに移っていくのがステップかと感じます。入門書やサイトはたくさんありますが膨大なのでまず当面の目的を明確にしましょう。ただ、一口に「入門」とついていてもレベルは様々です。いくつか書籍を紹介すると以下の通りですが、まず本屋さんや図書館などで実物を確認して自分に合ったものを選びましょう。
(やさしめ)
森 巧尚 (著)、『Python 1年生 体験してわかる!会話でまなべる!プログラミングのしくみ』
森 巧尚 (著)、『ゲーム作りで楽しく学ぶ Pythonのきほん』
(中間的な入門書)
クジラ飛行机 (著)、『ゼロからやさしくはじめるPython入門 ~基本からスタートして、ゲームづくり、機械学習まで楽しく学ぼう!』
リブロワークス (著)、株式会社ビープラウド (監修)、『スラスラ読める Pythonふりがなプログラミング 増補改訂版』
国本大悟 (著)、須藤秋良 (著)、株式会社フレアリンク (監修)、『スッキリわかるPython入門』
(本格派には)
三谷 純 (著)、『Python ゼロからはじめるプログラミング』
※サポートページ https://mitani.cs.tsukuba.ac.jp/book_support/python/
柴田 望洋 (著)、『新・明解Python入門』
森畑 明昌 (著)、『Pythonによるプログラミング入門 東京大学教養学部テキスト: アルゴリズムと情報科学の基礎を学ぶ』
PythonのWEBテキスト・資料
東京大学 Pythonプログラミング入門
https://utokyo-ipp.github.io/index.html
京都大学 プログラミング演習 Python 2021
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/265459/1/Version2021_10_08_01.pdf
東京工業大学 Python早見帳
https://chokkan.github.io/python/index.html
終わりに
なお、受験とはまだ関係が薄い中学生は、挫折しないように楽しみながら基本的なコンピュータスキルやプログラミングの基礎を学ぶことが重要です。
また、インターネットリテラシーやクリエイティブなプロジェクトへの取り組みを通じて、デジタル時代に適応する能力を養うことができます。最後に、各種スクールやクラブ活動など学習コミュニティや友人と一緒に学ぶことで、お互いに刺激を与え合いながら成長することができます。焦らずにこれらのステップを踏むことにより、中学生はIT教育の基盤を築くことができるでしょう。
また、当教室『ツクリウム』でも初心者用にPythonを使ったオンラインコースを開設しています。詳しくはhttps://tsukurium.net/python/
教室はさいたま市にありますが、オンラインコースであれば、たとえ長野県の遠隔地の方でも問題なく学べます。また、プログラミングを学ぶ際には実際に手を動かして何かを作ったり、問題演習をすることがとても大切です。そして共に学ぶ優秀で切磋琢磨できる相手や講師がいればより一層効果的です。もし、近くにプログラミングが学べる環境がない場合は検討してみてください。一人では非効率だったり挫折しやいプログラミングもみんなと一緒であれば着実に一歩ずつ進むことができると思います。
それではまた次回にお会いしましょう。
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